消えないで…僕の初恋
「姫野さ、オマエ暇だろ?」
またかぁ。
一応、抵抗だけはしておくか。
「今から玲華ちゃんたちと
お弁当を食べる予定が
ありますけど」
「それだけ?」
「それだけですけど」
なにか?
「じゃあ問題ないな」
「…っ」
「俺が授業で使った教材
いつもみたく
資料室に返しといて」
問題がないってなんですか?
問題ありですよ。
なぜ先生はいつも
私ばっかりに
用を押し付けるんですか?
心の中では
先生に反発できるのに
面と向かって
強気で文句を言えるほど
私のメンタルは強くなくて
「いつも…私ばっかり……」
なんとか吐き出したモヤモヤは
田辺先生の耳に
届かないほどの弱声。