もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
本当は友達と喧嘩をした時、どう謝れば良いのか、わたしはどこを直せば良いのか、どこを許してあげれば良いのかを教えてほしかった。
食べ物を粗末にしないことは大切だけど、嫌いな食べ物を残しても受け入れてほしかった。

小学生の頃、得意な国語のテストで、100点を獲って見せた時、びっくりしながらも笑って「すごいね」「えらいね」って、喜んでほしかった。
中学生の頃、部活動でキャプテンに選ばれた時、「頑張ったね」って褒めてほしかった。
高校受験をするとき、なぜその高校を選んだのか、理由を聞いてほしかった。

高校生にもなると、反抗期も相まって家庭環境がわたし1人の所為で上手くいかなくなることが増えた。
それが嫌で、自分の部屋に閉じこもることが多くなった。
家族はわたしの反抗期を察してか、話し合いを持ちかけることすらもなかった。

リビングで家族3人の楽しそうな笑い声が聞こえる。
わたしはいらない子なんだねとすら思ったし、いらない子にも関わらず、女の子だからという理由で門限だけは厳しく、自由がないことも加速して心を蝕んだ気がした。
毎日イヤホンをしながら目を閉じて、早く朝になれと泣きながら眠った。
どこにも行き場のない心のもやもやを誰かに話そうとすると、意味もなく涙が出たし、息ができなくなった。

わたしにとって、自分の心の中にある気持ちを、他人に、声に出して伝える、という行為は、とても疲れるし、しんどいことだった。
いつしか、伝わらないことが多くなり、理解されないという絶望が耐えられなくなって、もう誰にも話さいようになった。

伝えられない気持ちは胸の奥底に追いやった。
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