「会いたい」でいっぱいになったなら
「君も出るの?」
「え?」
「今日のフットサル、でるんでしょ?」

彼が私の服装に目を向ける。

まあ、ジャージ着てフットサル場探してたらわかるよね。

「はい。今日は男女混合のゲームですから、私も少し出ると思います」
「それなら、戦っちゃうかもしれないね」

「そうですね。ポジションどこなんですか?」
「俺、普段はサッカーしてるから、いまいちわからなくて。
フットサルは知り合いに誘われて、今日が初めてなんだ。
多分サイド・・・?アラ?」
と小首を傾げた。



いろんな話をしながら、私はこの人を知っている気がした。

低くて時々鼻にかかる甘い声。

特に『ら』の発音に少し癖のある、落ち着いた話し方。


どこかで聞いたことがある・・・気がする。
どこで聞いたんだろう?



そんなことを考えながら歩いていると会場に着いた。


「連れてきていただいて、ありがとうございました」
と深々とお辞儀をし、お礼を言った。

「それじゃ。また、ゲームで」
とほほ笑まれ、
「はい。お互い頑張りましょうね」
というと同時に、横から腕を引っ張られた。

「美琴!」

引っ張ったのは健だった。

「帰ってこないから心配した!」
温厚な健がイラっとした表情を見せていて焦る。

「ごめんなさい。ちょっとわからなくなっちゃって」
「携帯は?」

「連絡しようにも、今どこにいるのかすら分からなくて、連絡しようがなかったの・・・たまたまこちらの方に聞いたら、連れてきてくださったの。
フットサルに来られたんだって」

健は私の横に立ったままの、案内してくれた彼にイラっとした目を向けた。

顔を見ると同時に、
「え!?」
っと健は驚き、男性は
「えっとー。こんにちは」
と複雑な微笑みで挨拶をした。

「磯ヶ谷さん!
え?美琴が連れてきてもらったのって磯ヶ谷さん?」
健は磯ヶ谷と呼ばれた男性と私を目を大きくして交互に見た。

「磯ヶ谷さん?」
と男性に問いかける。
その人は、
「はい。磯ヶ谷です」
と返事をする。

「もしかして対戦相手ではなくチームメイトみたいですね」
「そうみたいですね」
と笑いあった。




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