真夏の夜

屋台③

事務所に着くと、エアコンをつけコーヒーを入れた。

椅子に腰をかけ、1週間分のデータを入力した。

携帯が鳴った。

以前OA機器を設置した病院からだった。

彼女はもし時間があれば一度見に来てほしいとのことで昼過ぎに行くと伝えた。

その時の資料を探し機器の情報も一緒にまとめておいた。

外では子供達が大きな声で笑っていた。

犬の散歩、ジョギング、買い物、様々だ。

昼までに何度か電話があった。

営業先の課長からゴルフの誘い、食事の誘い、来週商品の話を聞かせてほしいなど。

仕事以外の話は適当に返した。

昨夜の娘のことをぼんやりと考えていた。

どう言ってあげるのが良かったのだろう?

子供と言っても彼女も1人の人間だ。

僕がとやかく言う筋合いはない。

時間もあっという間に14時になっていた。

事務所の鍵を閉め車に乗り病院へ向かった。

病院へ着くと受付には女性2人がいた。

彼女は僕を見るなり頭を下げ事務所内へ案内した。

動作が急に遅くなったとのことだ。

接続部分にも問題はなさそうだし、本体内部の問題となればメーカーを呼ぶ必要がある。

電源を落としたりファームウェアの更新をしたりとできることはやってみた。

しばらくすると通常の動作に戻ったようだ。

彼女も僕も一旦はほっとした。

彼女と軽い雑談をした後、病院を出た。

彼女は以前と同じように僕を見送ってくれた。

事務所に戻ると一気に残りの資料を片付けた。

終わった頃には18時前だった。

エアコンと電気を消し、施錠をして帰った。

子供達2人も少し前に帰ってきたようだ。

一旦部屋に戻り、煙草に火をつけた。

吸い終えると着替えてリビングに行った。

3人は僕を待っていたようだ。

祭り会場に着くと多くの人がいた。

広い公園ということもあり屋台もたくさん並んでいた。

僕は1人で飲み歩きがしたかったので、3人とは一旦別々に行動をした。

周囲は家族やカップル、友人同士で溢れていた。

焼き鳥やお好み焼きの匂いが食欲をわかせた。

僕はビールを買って、しばらく散策した。
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