真夏の夜
第二章 夏はビールがうまい

夏休み①

焼き鳥屋で鶏皮と豚バラを買った。

頭にタオルを巻いた中年の男性は煙に目をくらませながら焼いていた。

味付け美味しかった。

その後、焼きとうもろこしを買った。

待っていると花火が打ち上げ始めた。

多くの人が花火の方へ向かった。

後ろから声をかけられ振り向くと、僕の会社の受付けの女の子が彼氏と遊びに来ていたようだ。

彼女は浴衣を着ており、普段と違った可愛らしさがあった。

挨拶を交わすとそのまま花火の方へ向かっていった。

焼きとうもろこしを買った後、もう一杯ビールを買い近くのベンチに座った。

妻から電話があり、居場所を伝えた。

花火は30分ほどうち上がった。

たまたま近くにいたようで、僕と圭太2人はベンチに座り妻と秋はより近くまで見に行った。

どうやら2人とも昨日から夏休みが始まったようだ。

圭太は部活をしておらず、普段は友達と遊ぶことが多い。

何か食べたか聞くと何も食べてないとのことだったのでお金を渡し好きものを買うよう伝えた。

近くの焼き鳥屋で鶏皮と豚バラを買ったようだ。

親子とはこうまでも似るものか。

彼は今年高校1年生で成績も悪くはないようだ。

学校生活はどうだと聞くと、普通だよとだけ言った。

花火が終わりしばらくすると人混みから2人が戻ってきた。

秋が笑いながら話している姿を見ると、少なとも安心した。

妻と秋は先に帰り、僕らはしばらくベンチに座っていた。

圭太はおつりでたこ焼きとかき氷を買い、僕らも家に戻った。

僕は家に戻ると冷蔵庫から缶ビールを取り出し部屋に行った。

外では祭りから帰る人々の声が微かに聞こえた。

音楽を流しベッドに腰をかけた。

しばらくして一階に行くと妻と秋がいた。

「今年の旅行はどこにする?」と妻が僕に言った。

毎年我々は夏休みは旅行に行く。

ソファーに寄りかかり、しばらく考えた。

秋はどこに行きたいか聞くと、キャンプがしたいとのことだった。

夏休みはキャンプに決まった。

秋は明日テニスの試合があるため、部屋に戻った。

「今日秋が言ってたわ。お父さんの話って面白くないけど、仕事ではうまく喋れるんだろうね」

妻はそう言うとクスッと笑った。

僕は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ダイニングテーブルの椅子に腰をかけた。

「別にいいんだよ。面白い話ができなくても生きていける」
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