iDOLの恋人~好きになった人は超有名人でした~
「なら、よかった。僕も順調だよ。父さんとはこの間…一緒にゴルフ、ラウンドした。」

テオは小さい頃両親と過ごせなかったことを両親のせいにせず、両親を愛している。
すごいことだと思う。
わたしはなかなか義母のことは愛せないし、母が死んですぐに他の人を妻に迎えた父を心の奥で未だに許せないでいる。
父の世間体を考えたら後妻を迎えざるを得ない立場だったということはわかってはいるのだけど…。

「わたしもテオみたいに両親を愛せたらいいのだけど…」

「莉奈は僕とは違って血が繋がってないお母さんだから…それは無理する必要はないよ。僕だって、時々弟や妹が無性に憎らしくなる時があるんだから…」

テオが生まれてすぐにお母さんが妊娠し、何とそれが双子で、双子が産まれてすぐにお父さんが病気になったのだとテオは言っていた。
だから、3人の中で1番手がかからない自分が祖父母の元に預けられたのだと。
お父さんの病気は3年ほど続き、その後もなかなか定職に就けなかったからか、テオの家はかなりの貧困に苦しみ、結局、小学校を卒業するまでテオは祖父母の元にいた。そしてようやく中学になって初めて両親と共に暮らすことができたのだと。

「テオはすごいよ。わたしはテオに救われてる。」

純粋な愛で人を愛せるテオをわたしはほんとに尊敬している。

「莉奈は気づいてないね。莉奈だってとても僕を救ってるよ。」

テオがにこって純粋な笑顔で笑う。

あー…もう。この笑顔が…ドキドキするからやめて…。
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