競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。


さすがに上位人気の逃げ馬は簡単に並ばせないし、抜かせない。しかも、後ろにいた馬たちも追い上げ(追いかけ)てきて差がなくなってきた。

ゴールまであと10mほど。アケボノソウの前には3頭、後ろにも差がなく2頭。
このまま決まるか……と思われたけど。さくらくんがもう一度ムチを振るった刹那、アケボノソウの体が伸びたように見えた。

そして、さらに加速したアケボノソウは1頭、また1頭と確実に抜き去る。先頭にいた1番人気の馬と並ぶと、先輩と観客からすごい悲鳴が上がった。

馬体をピッタリ合わせたまま、あと5m…3m……私が怖くなって手を握りしめたまま目をつぶると、「ゴール!!」と決着を告げるアナウンスが場内に響いた。

『一着はアケボノソウです!桜宮騎手、アタマ差でしのぎ切りましたっ!』

「や……やったあ!さくらくんが勝ったー!」
「やった!万馬券よー!」

喜びのあまり、由良先輩と抱き合ってぴょんぴょん飛び跳ねたのはナイショです…。


< 11 / 65 >

この作品をシェア

pagetop