競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

「す、すごい…!競馬場ってこんなに綺麗だったんですね。私が以前行ったことがある競馬場とは全然違います」

私が目を輝かせてそう話せば、おや?と由良先輩は首を傾げて訊いてきた。

「さくらっち、競馬場来たことあるの?アタシが競馬の話しても、全然馬興味無さげだったけど…」
「あ、はい。すご~い昔に一度だけ。年上の男の子に連れて行ってもらったんです」

私がそう話せば、カッ!と由良先輩の目が光って両腕をすごい力で掴まれた……ああ、これは。洗いざらい話さないといけないパターンだな、と観念して話すことにした。


「先輩も知ってますよね、うちは私が小5の時に親が離婚したってこと」
「そうね……」

緑が多い日陰があるベンチに並んで座り買っておいた飲み物を渡すと、さしもの由良先輩も答えにくそうに話す。

「さくらっちの家は、あとはお父さんだけだったわね」
「はい。母は再婚して新しい家族ができたらしいので、もう会っていません……両親は私が小学校に上がったあたりから仲が悪くて…私はよくおばあちゃん家に預けられてました」



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