競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

そんな事が、1週間で3回繰り返された。

約束しては、すっぽかされる。

こちらは仕事も始まって多忙ななか、なんとか時間をやりくりしてたのに。

(さくらくんらしくない……なにかあったの?)

苛立ちも怒りもあるけど、話を聞かずに一方的な決めつけはしたくない。

相変わらず、ライムでの既読スルーは当たり前で。ついついまたたくさん送ってしまう。

「さくらっち、どうかした?スマホ見てため息ついて……」
「う、ううん。なんでもない!」

由良先輩は今日もお父さんのお手伝いに来てくれてる。本当に、いくら感謝してもしたりない。
だから、心配かけたくなくてさくらくんと気まずいことは隠してきた。

「勝彦さん、はい。ミルク入りカモミールティーですわ。」
「ああ、ありがとう」

由良先輩がごく自然に名前を呼んでお父さんに好物のハーブティーを渡していて、おや?と疑問に思う。

「あれ、由良先輩……お父さんの好きなお茶と名前……」
「あ、ああ…!偶然知ったのよ。さくらっち話してたでしょ!それに、さくらっちも花井でしょう。名字じゃ区別つかないじゃない。だから仕方なく、よ!」

そうだったかな?と首をひねったけど。由良先輩が珍しく赤くなりながら慌てる様がおかしくて、可愛らしく見えた。

お父さんも、なぜか気まずそうに咳ばらいしてた。


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