競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
「その後、両親が離婚したのをきっかけに、お父さんについて遠くに引っ越さなきゃならなかったので…大学卒業後にようやく戻ってきましたが、乗馬クラブは無くなってましたからね」
あの男の子やおじさんや馬たちは、どこへ行ったんだろう?気にはなって自分なりに調べたけど……わかったことは、私が引っ越して一年後にはもう乗馬クラブが休止して後にその敷地は住宅になってしまったことだけだった。
「そっかあ…男の子と再会は無理だった?」
「はい……お父さんに聞いても、わからなかったんです。確か、名前に“さくら”がつくことと、わりに小柄な男の子だった記憶しかなくて。彼は私を“さくらちゃん”、私は彼を“さくらくん”と呼んでました」
「男の子でさくら……珍しいわね。でも……」
由良先輩は急いで競馬新聞を捲りつつ、「まさかね…でも」となにかぶつぶつ呟いてた。