極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「小さい頃はそうでもなかったんだけれど、中学高校時代に体調不良が続いて苦労したの。いろいろな病院を回ってやっと出た答えが金属とか化学素材に対するアレルギーだった」

当時は学校も休みがちで、周りからは不登校児の扱いを受けていた。
初めのうちは両親も優しかったけれど、そのうちずる休みなんじゃないかって思われて、何度も何度も喧嘩をした。
いつの頃からか言い争うのも嫌になって、私は両親と口を利かなくなった。

「思春期のストレスと重なって症状が現れたんだな」
「らしいわ」
確かに、最後に行った病院の先生にもそう言われた。

「今は?」
「もう平気よ。東京の大学に出て来て一人暮らしを始めてから落ち着いているわ」
「そうか、よかった」

学生時代から通して、私の病気を理解してくれた人は多くない。
泉美にしたって何度も何度も説明してやっとわかってくれたのに、太郎さんはすんなり受け入れてくれた。
もちろんそれはお医者さんだからかもしれないけれど、それだけではない気がする。
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