迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

地に残る未練(十三)


「な、え、あ」

「うちになんか用か」



 一族の家だとは思っていたが、まさかよりによって戒の家だったとは。

 別に私は嫌っているわけでもないのだが、先ほどの指名の件がある以上なんとなく気まずい。

 しかしそんなことをしている間にも、どんどん時間が過ぎていくもの事実だ。



「あ、ごめん。あなたの家って私、知らなくて」

「知らなくて? おまえ……」



 急に戒は眉間にシワを寄せ、怒ったような表情となる。

 一族だからといって私は帰って来たばかりだというのに、なにもそんなに怒らなくてもいいのに。



「悪かったわね。いちいち一族のこと全て、把握してなくて」

「……そうか。それでなんの用なんだ」

「あ、そう。この地区の地図貸して欲しくて。あれなら、詳しく誰のおうちか分かるようになっているから」

「迷子か」
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