迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

地に残る未練(十二)


「困ったなぁ。誰もいないのかな」



 都会では考えられないような、不用心さである。

 しかし、こういった家はこの地域では本当に多い気がする。



「すみま……」

「なにか用か?」

「きゃー」



 声は中からではなく、すぐ真後ろから聞こえてくる。

 前しか気にしていなかった私は、あまりのことに悲鳴を上げ、しゃがみ込む。



「わ、な、なんだよ」



 振り返るとそこには先ほどぶりである従兄の戒が、やや困ったような顔を浮かべ立っていた。
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