迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

交差する想い(五)

――――ピーンポーン


「え、え?」


 悶々とそんな考えなど無視し、軽やかに玄関のチャイムがある。


「時間ないんだろ? 鳴らすの、なんか問題あったのか?」


 空気が読めないというか、人の気も知らずにというか。

 チャイムを鳴らしたシンは、押してやったのにと言わんばかりの顔をしている。


「あー。うん、そうね」


 いなければ、その次を考えるだけの話だ。


「……いない、の、かな」


 もう一度チャイムに手をかけた時、玄関のドアがゆっくり開いた。

 中からやや疲れたような表情を浮かべた、三十代くらいの女性が顔だけこちらに覗かせる。

 肩までの髪は艶がなく、色白い肌にはっきりと目の下の隈が浮かんでいた。
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