迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

力の暴走(二)


 それなのに、今さなちゃんのことを彼女に伝えるということは、ある意味酷なことだ。

 さなちゃんの死を乗り越えて幸せになろうとしている人に、死んだあとの未練があの場に残っていたなんて。


「……どうしたら……」


 思わず、迷いを口にする。


「馬鹿か……」


 シンが声を上げた瞬間、後ろから突風が吹いてきた。


「な、なに」


 髪を押さえつつ振り返ると、自転車の上にいたさなちゃんのモヤが大きく震えていた。

 そしてその周囲から風が吹き出している。

 倒れないようにと自転車を戒が両手で必死に支え、シンが私をかばうように前に立っていた。


「さなちゃん!」

「受け入れられないことで、暴走し始めたんだ。だから言っただろう。どうなっても知らないぞと」
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