迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
第十四章

力の暴走(一)


「自転車なんて持ってきたから、てっきりあの事故の件を言いに来たのかと思ったわ。少し感情的に言い過ぎたわ。ごめんなさい」

「いえ、いきなり押しかけてすみません。そして、今から少し変なことを言うのですが」


 そこまで言って、一度深呼吸をする。


「今日、この自転車が福引きで当たって、あの交差点に行ったんです。そうしたら……。あ、あれ? 赤ちゃんの泣き声が」

「ああ。少し待ってて下さる? あの子が亡くなったあとに生まれた妹なの。変な時間からお昼寝をしたと思ったら、起きたみたいね」


 さなちゃんの妹か弟だろうか。

 あの事故の後に生まれたのだろう。

 あのやつれ方は、さなちゃんを亡くしたこともそうかもしれないが、育児に疲れてと考えた方がいいのかもしれない。
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