4番目の彼女
◇◇◇◇

 徹志くんには、もう二週間会っていない。私が断った日から連絡はパタリと止まってしまったからだ。
 連絡来ても毅然としてはねつけてやる! と鼻息を荒くしていた私は、肩透かしを食らってしまった。

 冷静に考えてみれば、遊び人にちょっとツマミ食いされただけじゃないか。4番目には順番なんてもう回ってこないかもしれない。いや、順位はどんどん落ちている可能性もある。このまま自然消滅に持ち込む気か。それは卑怯じゃないか、せめてもう一回会って話をするべきなのでは? 言い訳くらい聞いてやってもいい。ドラマの続きだって観てないし、あのカップだってまた使ってない。いや、持って行ってないんだから使う機会はもう訪れないかもしれない。

 思考はぐるぐると目まぐるしく降下し、どんどん不安定な気持ちだけが心を占めていく。

 かるたのように並んだ年賀状を丁寧に重ねながら、私は大きなため息をついた。こんなに落ち着かない時間を過ごすなら、いっそ一刀両断して欲しい。でももし、少しでも愛情があるなら、ほんのひと時の気まぐれで構わないから、やさしい言葉をかけて欲しい。いや、ただ会って徹志くんの笑顔に癒されたい。

 ──私から連絡しないルールを破ってしまおうか。

 そんな私の気持ちを見透かすように、スマホがメッセージを受信して震えた。

 ”きぃちゃん、今夜会える?”

 彼からの久しぶりのメッセージを見た瞬間に心が跳ねた。
 返信に”喜んで!”と書きそうになって、慌てて止めた。居酒屋の店員か。
 こんなに尻尾ブンブン振って喜んでるような返信じゃだめだ。だって別れ話かもしれないし、いや、そもそも別れ話じゃないか、関係解消のお知らせ? それとも、単純にに会いたい? あれか、性欲処理か。あぁ、考えてもわかんない。


 考えに考え抜いた挙句、別日に会う提案をしよう。
 別日でも会いたいなら、本当に会いたいんだろう。そうだろう。

 ”土曜の夜なら大丈夫”

 私の迷いに迷った返事は送信された。

 ”やった。早く会いたい”

 約束を喜んでくれる返信に思わず顔がほころんだ。
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