ライム〜あの日の先へ
そう思って撤退しようとした、その時。
不意に凛の視界も、鈴子の視界もいきなり大きなものに遮られた。
「もう、我慢がならない。二度と鈴子を差別するような言葉で呼ぶな」
「ちょっ……ちょっと、何!?」
突然現れた零次が、鈴子たちをかばうように日菜の前にたちふさがっていたのだ。
その背中に、鈴子の胸はドクンと跳ねた。
幼い頃からこの背中が守ってくれた。
何かあれば零次が切り込んでいって真っ先に盾になり、理論派の一成が弁で言い負かす。そうやって鈴子を守ってくれた。
おんぶをしてくれたこともあった。去っていく背中に抱きついて愛の告白をしたこともあった。そして日本に戻る背中を泣きながら見送ったことも。
強くて優しい背中は変わらない。いや、昔より広くたくましくなっている気がする。
胸の一番奥に押し込めて封をしたはずの恋心が、思い出と共に溢れ出すのが止められない。
私はずっとこの人が好きだった。
凛に面影を重ねて大切な思い出を守っていた。
だって思い出の先はないと諦めていたから。
だけど、あなたはまた私の前に現れてこうして守ってくれる。
その背中で守ってくれる。
鈴子は凛の背中を優しくさすりながら、零次の背中を見つめた。
不意に凛の視界も、鈴子の視界もいきなり大きなものに遮られた。
「もう、我慢がならない。二度と鈴子を差別するような言葉で呼ぶな」
「ちょっ……ちょっと、何!?」
突然現れた零次が、鈴子たちをかばうように日菜の前にたちふさがっていたのだ。
その背中に、鈴子の胸はドクンと跳ねた。
幼い頃からこの背中が守ってくれた。
何かあれば零次が切り込んでいって真っ先に盾になり、理論派の一成が弁で言い負かす。そうやって鈴子を守ってくれた。
おんぶをしてくれたこともあった。去っていく背中に抱きついて愛の告白をしたこともあった。そして日本に戻る背中を泣きながら見送ったことも。
強くて優しい背中は変わらない。いや、昔より広くたくましくなっている気がする。
胸の一番奥に押し込めて封をしたはずの恋心が、思い出と共に溢れ出すのが止められない。
私はずっとこの人が好きだった。
凛に面影を重ねて大切な思い出を守っていた。
だって思い出の先はないと諦めていたから。
だけど、あなたはまた私の前に現れてこうして守ってくれる。
その背中で守ってくれる。
鈴子は凛の背中を優しくさすりながら、零次の背中を見つめた。