社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
社長室に戻ると八十島が来た。
確認済みの封書の束を置いて戻ろうとするので、できるだけさりげなく言ってみた。
「金曜、ゲーセンで、ずっと嵐山の手を握って移動していたようだが……」
最後まで言い終わらないうちに、八十島が振り返り言う。
「ただ捕獲していただけです。
私が勝つ前に逃げられたら困るので」
仕事中くだらない話しないでください、とでも言いたげな冷たい目をしている。
……はい、すみません、と言いそうになり。
いやいや、こっちが社長だったな、と気づく。