たとえ、この恋が罪だとしても
 頭脳明晰な共同経営者は、おれの淫奔多情な愛人でもあるのだ。
 
 久しぶりに、この鎧(よろい)のように隙がない服を脱がせて、西洋彫刻の女神みたいに完璧な紗加の裸を拝めるってことか……
  
 里奈ちゃん、ごめん。また今度な。

******
 
 その夜、紗加の家でグラスを傾けながら、ふたりで作戦会議をした。
 何しろ一生に一度巡ってくるか来ないかの大チャンスだ。
 しくじるなんて許されない。

 海外の媒体だから、やはり日本らしさを前面に出したい。
 じゃあ日本のどのイメージを切り取ろうかという話になった。

 最終的にふたりの意見が一致したのは、小津安二郎の映画に登場する女優のような、クラシカルな雰囲気を持っているモデルを使うこと。

「奥ゆかしさとか芯の強さなんかも表現できたらいいんじゃないかしら。ただ美しいってだけじゃなく」

「ああ、そうだな」
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