たとえ、この恋が罪だとしても
 それからすばやく立ち上がると、わたしをかばうように肩に手を回して歩き出した。

 表に出て、駐車場に向かう途中の壁際で抱きすくめられた。

「文乃……会いたかった……おれのあやの……」

 そう言って、わたしの顎をすくいあげる。
 懐かしい彼の唇の感触がわたしの心に灯りをともしていく。

「文乃は? おれを好きでいてくれた? 今も変わらない?」
 少し不安げにそう尋ねる彼の顔を、わたしは見あげた。

「……変わって……ません。ずっと……ずっと好きでした。ずっと、会いたかった」

 唇が重なる。
 深く、激しく。

 まだ、宵の口だし、誰か通りかかるかもしれない。
 そんな考えが、ちらっと頭をよぎったが、それでもかまわない。
 そう思った。

 名残惜しげに唇を離すと、彼は切羽詰まった声音でささやいた。

「もう、死んでも離さないから、覚悟して」
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