【完結】和菓子職人との恋は、甘いようで甘くない?
「これ、みんなにも試食してもらってOKだったら、明後日から店に出そうと思うんだ」
「いいと思います。……私はこの和菓子、ずっと食べたいです」
悠月さんの作る和菓子は、本当にどれも美味しいから。
「菜々海はいつも俺を励ましてくれるから、俺は頑張れるんだ。ありがとうな、本当に」
「いえ。……私なんて、何もしてませんから」
そう言った私に、悠月さんは「そんなことない。菜々海はいつも頑張ってて、本当にえらいよ。 菜々海がいるから、俺たちはみんな頑張れるんだから」と言ってくれる。
「ありがとう、ございます」
そうやって褒めてもらうことなんてなかなかないから、なんだかちょっと恥ずかしい。
「菜々海、このお菓子、菜々海が名前を付けてくれないか?」
「え? 私が……?」
私が、このお菓子に名前を?
「ああ。菜々海に付けてほしいんだ」
「……いいんですか、私で?」
私みたいな素人が名前を付けるだなんて、おこがましくない?
そんな風に不安に感じてしまう気持ちが、どこかにある。
「俺が菜々海に、付けてほしいんだ」
「……悠月さん」
なんでそんなにも優しいの?悠月さんは……?