How To Love
私の王子様



その2ヶ月後、私は小さな部屋へ引っ越した。駅に近い小さな1K。

昴は2週間前に同じ駅の向こう側のマンションに引っ越している。2LDKの部屋は広々としたリビングだけで私の部屋よりずいぶん広い。

彼と一緒に部屋を探す間

「樹里がいつ遊びに来てもいいようにしておくね」

とは言っていたが、昴は一緒に住もうとは一度も言わなかった。ただ全面的に私を応援すると繰り返してくれる。だから私は昴に何でも相談できた。アルバイトは店舗を変わって続け、就職のために何か資格が必要だと考えている。JOYの社員という道もあるが、18歳の時から続けてきたことと違うことに挑戦したいと思うからアルバイトのままだ。幸い、これまでの父からの生活費を全く使っていなかったので、焦らずに準備したい。父には住所変更を知らせ、自立の一歩なので送金はもういらないと言ったが

「どこかで正社員になれるまで送金は続ける。それより、もう少し広い部屋を借りなさい。家賃は出す」

と、私の自立の意味をわかっていない答えが返ってきた。二郎さんも真澄ちゃんも、そして父も、私を可哀想な子と思っているから過保護なのだと感じる。昴は私が話をした時も‘可哀想’とは一切言わなかったから、一緒にいて居心地がいいのかもしれない。

そして、彼の部屋で一緒に料理に挑戦したりする時間はとても楽しくて、ドキドキするんだ。
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