How To Love
昴が私の狭い部屋に来ることもある。今日は私が6時までアルバイトのあと、2駅電車に乗って帰ってくると
「おかえり、樹里。お疲れ様」
駅の改札で待っていてくれた。
「ただいま。昴も終わり?」
「終わり。夕飯一緒に食べようか?」
「うん。えっと…パスタでいい?」
「これ見て」
「あ…私の好きなパンだ」
「そう。ワインつきだよ」
「ありがとう、昴」
近くにある、私のお気に入りのパン屋さんのパンを買ってきてくれた彼の腕に腕を絡め、一緒に歩く。嬉しい。
「良かった」
「へっ…」
「樹里が嬉しいって…良かった」
声に出ていたらしい。恥ずかしいけど、嬉しい。
「昴…ちゃんと…好きだからね…私」
「今度は僕が嬉しい」
彼はそう言うとチュッと私のこめかみにキスをした。