立春
大きなあくびを一つして、
残り1cm程になった珈琲を飲み干した。
底に張り付いた粉に吸い込まれてゆく。
香り高くとても苦い湿った粉は
私を纏って、私を飲み干した。
今年は桜が散る頃に春がくる。
珈琲かすにまみれた私を、
連れて行こうとする。
春は来ない。春が来ない。
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