排球の女王様~私に全てを捧げなさい!


「ピピーー!!」

「試合終了、勝者狼栄大学高等学校」

 
 それから「わあーー」っと、歓声が上がった。体育館が揺らぐほどの大歓声だ。

「勝者は狼栄だーー!!」

 谷が興奮し、立ち上がりながら拳を握り絞める。

「長い……長い戦いでした。両者とも良くここまで戦い抜きました。素晴らしい。本当に素晴らしい試合でした。春高に行くのは王者狼栄に決まりました。群馬体育館で行われた試合の中でも歴史に残る、素晴らしい試合でした」



 莉愛は大きな歓声の中、大きく息を吐いた。これは溜め息では無く、強ばった体の力を抜くためにおこなったものだった。

 ああ……終わった……。

 終わってしまった。

 莉愛は上を向き、目をつぶった。それはアリーナのライトが眩しかったからでは無い。涙を堪えるためにした動作だった。

 グッっと、泣かないよう瞼に力を入れる莉愛。

 みんなが戻ってくるのだから、しっかりしなくては……。

 拍手をしながら莉愛は皆が戻って来るのを待った。そんな莉愛の視線の先では、立っているのもやっとの状態の拓真達が、足を引きずりながら、泣いていた。


 ああ……みんなよく頑張った。

 最後まで諦めずにボール追いかけてくれた。

 それなのに勝たせてあげられなかった。

 ……勝たせてあげたかった。

 ごめん……。

 ごめんね。

 みんな……。





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