道づれ愛
sette
俺と佑香の結婚式は6月1日にセラウェディングのチャペルで、友人も極近しい者だけに絞り小規模な披露宴をその隣のレストランで行う。
そして佑香のドレスに合うベールを親父が工場で縫いたいと申し出てきた。
「嬉しいです。お願いします」
断ろうとした俺を遮り佑香が返事をしてしまった。
「ドレスと一緒に準備した方がいいと思うが」
「たくさんの方にお祝いして頂けるのは嬉しいでしょ?」
「それはそうだが…本当に気を使っていない?」
「ないよ」
それからすぐ俺たちは世良さんにそれを相談した。
「素敵ですね。ドレスと合う生地をこちらでお選び頂いたら統一感のあるものに仕上がりますよ」
「選べますか?」
「ええ、ドレスの生地を選んで頂くように、こちらでお選び頂きお好みの長さで縫製を依頼されるとよろしいかと」
「ちょっと安心した」
俺がソファーの背に体を投げ出すと
「それは良かったです。うちは大手より小回りがきいて、個々のご要望にお応えするのが売りですから」
そう世良さんが笑い、何でもおっしゃって下さいと付け加えると佑香が小さく声を漏らす。
「副社長自ら担当して下さる式なんて贅沢ですよね」
「他でもない桐生さんと佑香さんのお式ですから」