道づれ愛
尊さんは私の手首を持つと向かいの部屋に入り鍵をかけ、その手首は離さぬまましゃがみこんだ。
「…尊さん?」
反対の手で顔を覆った彼の旋毛を見ながらもう一度呼ぶ。
「尊さん」
「うん…佑香…」
そのまままた黙ってしまった彼を待つ。
「…心臓の嫌な音が止まらない…佑香を不安な気持ちにさせて…信じてもらえなかったらどうしようかと思って…寿命が縮まった…」
気の毒になるほどの弱々しい声に私も胸が痛み、掴まれていない方の手でそっと彼の頭を撫でた。
「俺、毎日どんどん佑香を好きになっているから…絶対に裏切るようなことしないから…なんなら川上と仕事するのも辞めるから…佑香は離れないで」
「はい…お仕事は辞めなくても信じてますから」
しゃがんだままで私を見上げた彼は、ふにゃっとした笑顔を見せてから立ち上がり、ぎゅっと隙間なく私を抱きしめた。私が彼の腰に腕を回すと、彼は更に腕に力を込め
「ありがとう、佑香」
私の頭に口づけながら言い、そのまま耳、頬にキスをするとゆっくり唇を重ねる。二、三度触れるだけのキスをしたあと彼の舌が私の唇を舐めながら割る。その熱い舌に私も舌で触れると、彼の舌がねっとりと私の舌に絡み付く。角度をかえ喉元まで到達したと勘違いしそうなほど深く舌が侵入し口内を掻き回す。私の口角から唾液が落ち始めたのをじゅるっと吸い、唇にチュッと音をたて鼻にもチュッと音をたてたあと彼は私の頬を撫でながら
「この週末会えなかった分、今度の週末は泊まりだよ」
そう言ってもう一度ゆっくりと唇を重ねた。