道づれ愛
「…どれも素敵だね…」
「そうだな。ゆっくり選べばいい。閉店まで2時間ほどありますよね?」
「本日はクリスマスですので通常より1時間遅い21時閉店でございます。3時間ゆっくりとお選び頂けますよ」
店員は嫌な顔ひとつせずにこやかに言う。うちの店舗の店員もこういう余裕のある接客が出来ているのだろうか…扱う商品は違えど見習いたい、そう思った時
「尊さん…これ…どうかな?」
「うん?どっち?」
「左の方」
彼女が指さす緩やかなウェーブラインのリングを店員が出し、優雅な光沢をもつベロア素材のジュエリートレイに置く。
「同じデザインで右の方がダイヤモンドが多いよ。その隣はもう少し大きいみたいだよ」
彼女が指したのは小さなダイヤモンドが3つ付いたものだが、その右側には同じデザインで5つ付いたものがあるので、さりげなく目を向けさせる。
「毎日着けるのにはこんな感じが素敵じゃないのかな?」
こうして彼女が選んだ3種類は、どれも華奢で控え目なものだった。
「佑香に似合うとは思うけど…」