ここにいるよ
幼なじみの新(あらた)だ。




幼稚園の頃、新は隣に越してきた。




高校生になってもアタシを子供扱いするバカ新。




でも‥


新のお母さんは三年前病気で亡くなった。




お父さんはずっと単身赴任。



だから



新もまた、アタシと同じで一人暮らし同然だ。




「あーらたッ」




アタシは走り寄って新の背中を突き飛ばす。




背の高い新はビクともしない。


そんな所が憎らしくもある。




(昔だったら泣いてたくせに‥)




振り向いた新に軽くアイサツをした。




「よッ一緒に帰ろー‥」



‥?




アタシを見て‥

なぜか彼は震えている。



まるで




見てはいけないモノを見てしまった時のように‥




「‥え‥何?どうかした?」




その時

アタシの頭の中に一瞬だけ



本当にごく一瞬‥



赤い車が浮かんだ。




‥何だろ‥今の‥?




でも今はそれどころじゃない。



新が目の前で震えているんだ。



けれど理由がわからない‥




アタシが混乱していると、ゆっくりと新が口を開いた。




「そ‥空‥なの‥か‥?」
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