ここにいるよ
空なのか?




新は確かにそう言った。




‥なんなの‥?




アタシ

誰だか分からない程濃いメイクしてないし!




新の態度に腹が立った。




「バカ新!化粧濃くて悪かったねー!」




バカにされてると思ったアタシ‥




「幼なじみに名前聞くバカがどこに‥」




急に体がフワッと浮き上がった気がした。




でもそれは


新が力いっぱいアタシを抱きしめていた。




新は‥



泣いていた‥




「ちょっ‥」




こんな新は初めてだった。




「新‥苦しいよ‥どうしたの?」




人通りの多い大きな交差点。


そんな事は全く気にもせず、新は泣き続けた。




抱きしめた手を少しだけ緩め




新は涙をいっぱいに溜めた綺麗な顔でアタシを見た。




「‥空‥何で‥ここに‥」




新の言う意味がよく分からない。




「何でって‥家に帰るんだよ?」




何なの‥?



どうしてそんな焦ったような顔するの‥?



アタシは少し



怖くなった。




「帰るって‥どこにだよ‥」




力いっぱい掴まれた両手が痛い。




真剣な新の顔が、冗談ではない事を物語っている。
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