虜囚島

変わらぬ朝

私の日課は、朝一番にパソコンのメールをチェックすることだ。

いつから日課になったのかは覚えていないけれども、恐らく、母親とメールのやり取りをし始めてからだと思う。

チェックすると、必ず母からのメールが届いている。
送信時間を見ると、いつも早朝なのだから、驚きだ。

老人は早起きなのね…。

ふと、そんなことを思い、一人でにやけてしまった。
母に直接言ったら、どんな顔をするだろう?
きっと笑いながら怒るに違いない。


「結花へ

元気かな?
こちらは、いつもと変わらず平和だよ。
昨日、家庭菜園で採れた野菜を送っておいたから、食べてね。
食生活きちんとして、風邪引かないようにね。
毎日暑いでしょうが、今日も仕事頑張ってね。

母より」


平和って…。

随分表現が大袈裟で笑ってしまった。


「お母さんへ

こちらは毎日天気で、日差しが強いよ。
とても暑くて、南国にいるんだな~って思うよ。
お母さんも身体に気をつけてね。

結花

追伸
こちらも平和だよ。(笑)」


携帯で送れそうなメールを、なぜパソコンで送るのかというと、ここ遠見島は、本島から遠く、小さな島のため、携帯は島内しか通じないのだ。
当然、本島からの携帯も通じない。
パソコンだけは、海底ケーブルで回線を繋げており、使うことができるのだ。
< 5 / 17 >

この作品をシェア

pagetop