手を伸ばした先にいるのは誰ですか





でも困った…今まで、思い悩み考える時に必ず朱鷺が助けてくれたのも事実。何もこの5年というのではなく、むしろそれ以前、私たちが世間で兄妹となってからずっと…ずっと朱鷺が私を支え、助け、導いてくれたんだ。

昨日とは一転、雨の降りしきる窓の外を眺めながら紅茶を飲む。朝から珈琲、珈琲、紅茶…今日のカフェインはもうストップかな…purururu…

「…はい…」
‘美鳥?休みだろ?元気?何してる?頭であれこれ考えているんじゃないかなと思って…大丈夫か?’
「…龍…質問はいくつ?ふふっ…お仕事中でしょ?」

時計を見ると2:45で彼は仕事中のはず。

‘うん、今が昼休憩。朝から客先訪問が入っていて午前が午前で終わらないってパターンだよ。で、ギリギリ帰社して13時のアポイントメントを終えて今、コンビニ弁当にありついた’
「雨の中の移動は大変だよね。お疲れさまです」
‘それは…うん、全然いいんだけど…美鳥、大丈夫?頭でいろいろ考えて答えを出そうとしているんじゃないかと思ってちょっと心配になった’
「…大丈夫だよ」
‘考える必要ないからな。またすぐ会える。こうして電話もする。自然に心が動いて体も動くと思うから頭で考えないで。high thinkingは生活の他の部分で頼むよ’
「うん…ありがとう」
‘ああ…もう遅かったんじゃないか?ずっと考えてたって様子だな…朝イチで電話すればよかった’

会って話せば私の方が言葉数が多く、電話では龍の方が言葉数が多いのだろうか…

「ありがとう、龍。大丈夫…どこかで必ず考えないといけないことってあるでしょ?」
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