手を伸ばした先にいるのは誰ですか





「川崎さん」
「うん?」
「これで一度企画として上げるのはいいと思うのですが…」

北海道の新店舗への企画第一弾の概要を二人で決めたのだが

「この‘ダブルリバー’って何ですか?」
「チームって前につけようかまだ迷ってる。‘チーム·ダブルリバー’の方がいい?川崎と蜷川、どっちも‘川’でしょ?」
「…」

企画書にあるダブルリバーの記載が気になっていたのだ。

「何?美鳥さん、気に入らない?‘チーム·ビューティー’になら変えてあげてもいいわよ?」
「…どっちもどっちですが…ダブルリバーでお願いします」
「あのね、こういう企画は些細なことでも楽しくやった方がうまくいくのよ」

人差し指を顔の横にピンと立ててすまして言う川崎さんに、チーム名がなくても楽しくやってるとは言えなかった。

「分かりました。午後、社長の都合で何時かは分かりませんが川崎さんに連絡しますね」
「お願いしまーす」

まず概要を見て朱鷺がオーケーと言えば、北海道のスタッフと関連する外部業者へ連絡を取り企画書として再び提出することになる。川崎さんを執務室へ呼べたのは4時ごろだった。

「ダブルリバーって…いる?」
「社長…兄妹揃ってそこに不満そうに食い付かないでください」

仮の企画書を見た朱鷺の第一声に川崎さんが口を尖らせ

「美鳥も言ったのか?」
「うん…そしたら‘チーム·ビューティー’になら変えてあげてもいいわよ…って言われたから「どっちもどっち」でしょ?」だな」
「わっ…腹立つ声の揃えかただ」

と頭を抱えた。いや…こっちが恥ずかしいです、ダブルリバーってほんと要らない。
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