手を伸ばした先にいるのは誰ですか





「これで進めてみて下さい。ただ日程を早めて」
「夏休みの企画では遅いと?」
「遅い。第一弾のこれを7/1から7月のフェアとして、第二弾を8/1から8月のフェアとして開催したい。ゴールデンウィークにやりたいくらいだが?」
「今…3月末ですから1ヶ月では無理です。まだどことも連絡をとっていませんし」
「だから100歩譲って7月、同時に8月のもよろしくお願いします」
「…ほらね、美鳥さん」

朱鷺の指示を聞き、川崎さんが私に向き合う。

「こういう鬼の指示に耐えながらいい企画を遂行するにはダブルリバーでも、ビューティーでも言ってないとやってられないのよ?わかるでしょ?まだこれだけの概要のものをどれだけ計算機叩いて仕上げると思ってんのよね?7月に始めるならゴールデンウィーク後には告知が必要なの」
「なるほど…ご予約に繋げるためですね」
「そうよ。ということは、やっぱり美鳥さんと私はチームとなって結束して走り回る運命よ。よろしく」

力一杯両肩を叩かれ

「わっ…縮む…はいっ、今のも勉強になりました。川崎さん、よろしくお願いいたします」

と揺れながら何とか挨拶する。

「社長」
「はい」
「必ずやりきりますが、私がチームリーダーで美鳥さんをこき使っても文句なしでお願いします」
「ふっ、分かりました」
「私の今の部門のチーフという…」
「それはそのままでお願いします」
「ぎゃーっ…過労で死んでやる。美鳥さん、明日も10時からミーティングね」

きっと忙しい川崎さんは執務室を、失礼しますと言いながら走り去って行った。
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