手を伸ばした先にいるのは誰ですか






支配人と担当者2人との食事はイタリアンレストランの個室でだったが、そこへ特別にフレンチレストランからも一皿をワインとともに届けていただけた。

「すごく贅沢ですね。ありがとうございます」
「ミーティングですから」

と笑った支配人がスパークリングワインのグラスを持ち

「お疲れ様です。乾杯」
「「「お疲れ様です。乾杯」」」

皆で乾杯してから、そのフレンチの一皿をいただく。それは大きな帆立て貝に贅沢にウニが乗っているポワレで

「あっさりとしていながら濃厚な味わい…美味しいです。何より、この帆立て貝の大きさが‘北海道’という感じですね。写真で見たよりもずっとボリュームがあります」

感動したままスパークリングワインを飲む。

「おいし…ここまで来た甲斐があります。素敵に仕上げて頂きありがとうございました」
「嬉しいお言葉ですが、まだ一皿ですよ?」
「コースメニューに組み込まない、ペアリングの一皿なのでボリュームがありますね」
「そこも、結果的にレストランの数字が良くてですね…」

担当者さんの話ではペアリング目的のお客様は結果的にアラカルトで注文されて、どのレストランも昨年比の数字が1.2倍から1.4倍だという。

「Ninagawa直営のカフェレストランでは1.55倍です。これは珈琲よりワインの単価が高いことが影響していると思われます。ランチでペアリング提供しているのがカフェレストランのみであることも要因です」
「美鳥様、直営でこれだけの数字は快挙ですよ」

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