デス・チケット
「そうだ! この人、さっきからドアや壁にふれることができてるんだ!」


タイセイに言われてハッと息を飲んだ。


私達はカズトモやミチオにふれることができなかった。


だから連れ出すことも不可能だった。


でも、この人はものに触れることができている。


私はマジマジと部屋の中の男性を見つめた。


男性は相変わらず唸り声を上げて部屋の中を暴れまわっている。


明らかに危険そうな幽霊に緊張感が舞い戻ってくる。


「俺たちは幽霊に触れることができない。だけど、幽霊は物や人間に触れることができるのかもしれない」


タイセイは早口に言いながら鍵の束を取り出した。


どんなことがあっても、これだけはしっかりと握りしめてきたのだ。


その鍵をひとつひとつ鍵穴に挿していく。


なかなか鍵穴に入らない鍵に焦りは増していくが、タイセイは落ち着いていた。


1度目みたいに指先が震えることもなく、どうにか鍵を開けることに成功したのだ。
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