王女の選択
「お父様!」
「せっかくだから、いい気分にさせてやろう。交渉が成立したらワインと共にあのグラスを用意しろ」
「もし・・・もしジェラルド大公が口にしなかったらどうなさるおつもりですか」
「その時は考えがある」
ゆっくりと吐き出すその言葉に、カーラはぞっとした。
ルドルフが何かほかの方法を考えているのは明らかだった。ただそれが何か言うつもりもないらしい。わかっていることは、カーラが毒を盛らない限り、もしくはジェラルドがそれを口にしなかった時には、他の方法を用意しているということなのだ。
しばらくの間、ルドルフは恍惚とした表情で正面を見やっていた。
「ルドルフ殿」
それまで口を閉ざしていたジルベールだったが、ルドルフの方に顔を向けると明日のためにも体を休めたほうがいいと助言し、ルドルフの体を横に倒した。
カーラはそれ以上何も言わずにトレーを手に取ると、ルドルフの部屋を出て行った。
「カーラ殿、お待ちください」
振り返ると、ドアを閉めたジルベールが小走りでカーラの傍に駆け寄ってきた。