王女の選択
「とりあえず、ルドルフ殿が回復されるのを待つ」

「それは賢明な判断でしょうか。ルドルフ国王が動き出す前に、完全に封じ込めるべきです。ストラウス側も被害を被っておりますし、それ相応の代価を支払わせるべきです。でないと我々の兵も黙ってはいないでしょう」

「わかっている」

「いや、わかってないでしょ。カーラとの結婚の許しを請うなんて考えているようじゃあ」

リュカがすかさず言い返す。

「カーラ殿と?」

ヴィクトーが驚きの眼差しでジェラルドに聞き返した。

リュカめ。余計なことを。

ジェラルドはリュカを睨んだが、してやったりとした顔で口角をあげただけだった。

「それは・・・交渉の一つに入っていると考えてよろしいのでしょうか」

「そうだ」

「ルドルフ殿がカーラ殿を差し出してくるならともかく・・・」

「だろ?俺も話したんだが、ジェラルドは全く聞き耳持たず。完全にカーラに心を奪われてしまったらしい。あのキス一つで」

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