こんなのアイ?





 悠衣の車に乗ると彼は不機嫌な声で聞いてくる。

「飯は?」
「もう食べた」

 それだけで黙り込み、車は私が歩いた道を引き返す。悠衣のマンションまで無言で到着し

「あの…悠衣?」

 と声をかけると彼は

「飯食う、付き合え」

 それだけ言い私に珈琲を淹れると、自分は寿司折りを広げる。

「美味しそうだね」
「仕事先で配られた。どれか食う?」
「ううん、お腹いっぱいなの。ありがとう」
「何食った?」
「えっと、牛とごぼうのしぐれ煮と酢の物とか和食」
「ふーん」

 なんなんだ。さっきは克実がふーんと言い、今度は悠衣がふーんと言う。まあいいか…珈琲美味しい、体冷えてたな。お寿司を食べ終えた悠衣は

「体調はどうだ?」

 と聞いてきた。

「問題ないよ、ありがとう」
「熱だけじゃなく、体どこも問題ない?」
「…ない」

 自分で赤面するのがわかり余計に恥ずかしくなる。
< 113 / 196 >

この作品をシェア

pagetop