こんなのアイ?



 克実にメッセージを入れスマホを置く。ワインを口にしながら彼のクリニック開業は遅くとも2年後と言っていたな。彼のことだ、もう場所など目処をつけて準備をしているかもしれない。今度会ったら一度詳しく聞かないといけないな…と考える。

 子どもだった10代、結婚離婚に振り回された20代…充実と満足の30代にしたい。

 テーブルを片付け、先日引っ張り出した医療事務のテキストを開くとメッセージを受信した。ブレントからで、また誘うとあった。

 そのままスマホを置くとすぐ兄からのメッセージで、明日朝から病院だが夕方には帰るから彼のところで夕食を作っておいて欲しいとのヘルプだった。今週は忙しくてまともな物を食べていないらしい。稀にしか頼まれないがこういう時は本当に多忙でどうしようもない時だ。帰ってすぐに寝ればいいと思うが、彼は部屋が片付いていないのも落ち着かないからある程度の掃除洗濯を欠かさない。そして食事が疎かになり寝不足とでしんどくなるのだ。

‘了解。明日、掃除洗濯も私がするから今日克実は何もしないですぐ休むこと!!食事も作り置きまで作るから、もう一日だけ頑張って!!’

 とメッセージを送るとすぐにバスルームに向かう。そしてお風呂に入ったあと、明日しようと思っていた自分の洗濯を夜のうちに済ませた。

 翌日は朝から曇り空で、とにかく雨が降る前に克実のマンションへ行き部屋や冷蔵庫を見てから買い物等の予定を立てようと午前中に彼の部屋へ行く。

「忙しかったんだね…もう少し早く言ってくれればいいのに…」

 平日にヘルプは遠慮していたんだろうが克実の部屋にしては乱れておりソファーで寝た形跡がある。ベッドで寝て起きられないのを危惧したのか、ベッドのシーツを替えたいのに出来なかったかだね。食事もだけど、これでは彼は心が休まらない。ベッドのシーツとカバーを全て取ると洗濯機を回し、冷蔵庫が空なのを確認してスーパーへ急いだ。
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