こんなのアイ?
なるほど…ブレントは紗綾を使って愛実に接近することにしたのか。
目の前の愛実は警戒心剥き出しなのを隠そうとせず、急にファミレスと言ってみたり、偶然会えば一緒に飲んでもいいが約束するような関係は断ってくる。
が、何を言っていても可愛いんだが?一回りも年下の女はこんなに可愛い生き物なのか?俺のスプーンからグラタンを食べた彼女に、俺らしくないことを言ってみる。
「今度は愛実が食べさせて」
「へっ?」
くっくっ…おかしな声が出たぞ。綺麗な猫目が真ん丸に開かれている。
「あーんしてくれと言ったんだが?」
「…恥ずかしいことを…」
「さっき愛実はやったぞ」
「なっ…あれはあーんじゃないもの」
「変わらない。早くしてくれないと冷める。隣に座ろうか?」
「それは…丁重にお断りします」
渋々スプーンを差し出した彼女の手を掴みスプーンを口に入れると、愛実は慌てて手を引こうとするがゆっくり飲み込むまで掴んだままでいる。
「信じられない…悠衣っていつもこんな風なの?」
「いや、初めてした。うまい」
「…もう誘ってもらっても出て来ないから…」
「なんで?」
きっとこれを言うために今日は出てきたんだな。だが悪いな、愛実。楽しみはまだこれから、今からだろ?
「俺が納得出来る理由がないと断らせない」