こんなのアイ?
偶然会った愛実を食事に誘う。一瞬考えてからOKするところからはまだ警戒心が窺える。週末の誘いを断った後ろめたさからOKしたというところか…
店を決める時もオーダーを決める時も‘どっちでもいい’とか‘どうしようかな~?’という曖昧なところがなく短く自分の希望を伝えてくるところは小気味好い。そしてきちんと手を合わせてから美味しそうに食べる。愛実は量的にはそんなに食べないが少しずつ美味しそうに食べるので、シェアして食べるのが一番だな。コース料理なんかは苦手かもしれない…と、もう次に誘う事を考えている自分に驚く。
「一昨日、紗綾も僕も友達を連れて会ったんだよ。で、来月クリスマスパーティーとまではいかないけどクリスマス会食するって話になったんだ。愛実もおいで」
テンポ良く話が出来ている流れで、数人の集まりに警戒心なく来ればいいと思い誘うが
「うん?それって4人の約束なんでしょ?私はいいよ」
と彼女は断ってくる。
「じゃあ、僕とクリスマスディナーする?今日もたくさん話せて楽しいし改めて誘うよ」
今まで弾んでいた会話が途切れた彼女の様子を伺う。
「ごめんなさい、行かない…今日は楽しいのはそう…楽しいけど」
「楽しいのにどうして?」
「…男の人とあまり関わりたくない」
「何か…前に嫌なことあったんだね?」
ウーロン茶のグラスを飲むでもなく手にして頷く愛実を真っ直ぐ見つめ伝える。
「でも僕は僕だよ…愛実が今までに会った誰とも違う人間だ。愛実の知っている誰とも比べず僕を見て欲しい」