こんなのアイ?
冷凍庫の餃子を焼きながらトマトを切る。二人分のつもりだった麻婆豆腐を3皿に分け、もやしネギ人参がたっぷりの春雨スープも3つの椀に分ける。
「ご飯は、冷凍したのでよかったらまだあるから…とりあえずこれで食べて下さい」
「うまそうだ。いただきます、愛実」
「僕、餃子好きなんだよね。これも作ったの?」
悠衣が食べ始めた横でフォークで餃子を取りながらブレントが聞く。
「うん、前にまとめて作って冷凍してたんだけど…お箸じゃないと食べづらいでしょ?スプーンで食べやすいメニューを今週は考えてたから…」
「愛実が作ってくれたものは手を使ってでも食べるよ…うん、美味しい」
「ホントうまい」
「そう、よかった。いただきます」
カウンターの隅に座り食欲旺盛に二人を見ながらスープを口に運ぶ。
「ブレント、こんなうまいもの毎晩食ってるのか?」
「そうだよ。美味しいよね」
「ズルいな」
「ズルくはないよね?痛い思いして不自由な思いもして…ブレントは大丈夫って言うんだけど仕事に影響してるよね?どう?悠衣」
気になっていることを悠衣に聞いてみる。
「ブレント自身がデザインする都合はわからないが会社には影響なかったぞ。昨日と一昨日は会議にも予定通り出ていたし」
「ね?僕が大丈夫って言っているのをまだ信じてなかったの?」
ブレントはフォークを置いた手で私の頬っぺを軽くつまむが、その指はとても優しく撫でられているようだ。