こんなのアイ?
愛実は答えずに缶を1本こちらに差し出した。そして微笑みゆっくりと迷いを含むような声を発した。
「ありがとうね、でも大丈夫だから…送ってもらえる?」
「うーん…愛実違うんだよ、それは違う」
まだシートベルトをしていない体を抱きしめ彼女の背中を擦りながら肩口に顔を埋めた。
「…違うって?」
彼女の戸惑う声に、顔を埋めたまま答える。
「愛実が大丈夫でも僕は大丈夫じゃないよ」
「…ブレントが大丈夫じゃない?」
「そうだよ…好きな人が心細い夜に…昔を思い出して不安定な気持ちの夜に一緒にいないなんて無理だよ。愛実がベッドで…僕の腕の中で眠ってくれないならこのままずっとここにこうしているから…ここでおやすみ」
「えっ…ちょっとブレント?本当に言ってる?」
「もちろん。このまま離れる気はないよ」
そう言い顔を彼女の首に向け首にチュッとキスをする。
「ひゃっ…」
「僕と一緒にいて困る?付き合ってる相手はいないんでしょ?」
「…うん、いない」
「悠衣に好きって言われた?」
「……ぅん」
「返事した?」
「…していない」
「誰とも付き合ってないんだね?」
「付き合ってない…」
腕はそのまま、顔を起こし額を合わせる。
「僕のこと嫌い?」
「ううん、嫌いじゃない」
「こうしていても嫌じゃない?」
「嫌じゃないかな…すごく恥ずかしい」
それを聞き、そっと唇を合わせ一度離し…もう一度しっとり彼女の唇の感触を確かめるように口づけた。