こんなのアイ?




 部屋でアイスを渡すと袋を覗きながら

「迷うなぁ…あっ…悠衣は食事したの?」
「大丈夫だ」
「まだなんだね?」
「まあ、そんな日もある」
「…残りものになるけど…良ければ食べる?」
「喜んで頂く」

 愛実はアイスを冷凍庫にすぐに入れると俺をカウンターに座らせレンジと冷蔵庫をちょこまか動き始める。そして5分余りで、そぼろ丼と味噌汁、そして大根おろしがしらす干しを添えて出された。

「早いな」
「残りを温めただけだもの…今は大根おろしただけ」
「うまそうだ、いただきます」
「うん、私はアイスいただきます」

 油揚げにキノコ類がたっぷりの味噌汁が1日の疲れを癒してくれるようだ。

「うまい」
「良かった」
「昨日バーに行ってたんだな。俺もブレントとあの後行った」
「うん、すごく久しぶりに行った」
「克実と?」
「…そうだね。聞いたの?」
「兄、克実だろ?医者?」
「うん、小児科医」
「そうか…これで俺は何年も前から愛実と一緒にいる男の影を気にすることなく攻め込めるってことだ」
「…気にしてたの?」
「ははっ…そうでもない。男の影があろうがなかろうが好きなもんは好きだからな」
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