極甘結婚はおあずけですか?
第1章 素直になれなくて
爽やかな風が気持ち良い4月。
外はまだ明るくお出かけ日和の今日、私の部屋はカーテンを閉めきって暗くしていた。
「ちょっと、千紘!ビクってしないで」
「ビクってしてるのは結乃の方だろ」
テレビからは大音量で悲鳴が聞こえてくる中、私は今、千紘の足の間にすっぽりと収まりながらホラー映画を見ていた。
遠慮なく背もたれにしているため、千紘が動くとその振動は全てダイレクトに伝わってくる。
だからこそ、映画の音よりもその振動にびっくりしていた。
より恐怖感が増してくる気がする。
なぜホラー映画なのかというと、千紘が見たいと言って持ってきたからだ。
せっかくのオフなのに、こんな休日でいいのか……。
「ねぇ、買い物行ったりとか出かけなくていいの?」
「は?何言ってんだ?俺の休日なんだから結乃と過ごすに決まってんだろ」
「……っ」
今のは不意打ちだ。
千紘はこうしていつも私をドキドキさせてくる。
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