空の表紙 −天上のエクレシア−

白兎が強く手を握る

「でも……殺すまで
何故憎んだ…?

確かに青の王は
民と遊んだり、女癖悪かったり
すちゃらかな割に人気があった
でもそれは
良い政治を行っていたから…


現に青の王の統治時期は
一回も戦は起こっていない。
外交能力や
人の心を動かす力が高かったんだ

『国は人と人が作るんだ』と
良く言っていた…

弟王との共同政を宣言した後も
いつだって目立つのは
賛美されるのは兄だった

…しかしそんな事で……
何があったって言うんだろう…

…ガラさん
こんな事を聞くのはなんだけれど…
青の王の…最後は…」




「…今しも王が扉に入らんと
前に立った時
突然、弟王が背表紙から開いた
そして閃光と激しい振動…

残ったのは私と、弟王

―奴は高笑いして
叫んでいたよ

『…やったぞ!!
これで全て私のものだ!』

その渦にあっと言う間に
その場にいた皆、
飲み込まれたり…炭と化した」



――オデッセイは
両手を見つめる

「…その『本』は
微妙な気持ちは
読み取ってくれないのかもしれない…
ただその時そのままの
強い感情だけ受け取るんだ…」




「…私は、だから、多分
晒された青の王の首は
影武者の物だと私は思う

それから……
高笑いの止まらないそれを
張り倒して気絶させ
神殿の外に放り投げた…

後はさっき言った
一連が……あって…
シィラ達と…」


ガラの息が荒くなり
押し黙る。



――そしてここからは
彼女しか知らない事だ






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