空の表紙 −天上のエクレシア−

世界の終わり


―――――――――

長い法衣を上半身脱ぎ
城の青門前まで
全速力で走って来た白兎



「これは……白兎様!」

門番は慌てて
横の木戸の鍵を開ける

「ありがとう!
君らも早く町へ!
家族の人んとこ行きなさい!」

「…あ、いや、しかし
離れて良いとの命令は…」

「いいんだ!
…どれだけ待ったって
フリートは来ない!早く行け!」


門番達は顔を見合わせていたが
一礼すると
一斉に街へ駆け出して行った


城の中では召使達が
行動を決めあぐね
ザワザワと話合っていたが
白兎の姿を見付けると
一斉にわっと駆け寄って来る

「よくご無事で!」
「皆あれは何かの間違いだと
話しておりました!」


「ここに王とフリートが居ない事は
解ってる!
転送輪でどこかへ行ったな?!」

「は…はい…それであの…」

「ぬ?」

「この機に乗じてと言っていいのか…。
御妃様が…
以前から噂のあった黒魔導師と
…逃げてしまわれまして…。」

「ぬおお?!…うわ…
…と、とにかくもう少し
皆力を貸してくれ!
街の怪我人をここに運び込む!

導師もかなりの数
協力の為来てくれるけど
皆、大魔女シィラの
知り合いばかりだから、
安心していい!」

それだけ言うと走って
地下に向かう

転送輪のある所だ





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