生きづらさ

海鮮②

僕は北海道と聞けば海鮮をはじめに思い浮かべる。

産地で獲れた魚介は本当に美味しい。

僕はアワビ、ホタテ、イクラ、ウニなど赴くままに食べた。

一つ一つを堪能した。

一通り堪能したところでビールが安く飲める居酒屋に入った。

夕方前ということもあり、地元の人よりも観光客が多かった。

ビールとナッツを注文した。

僕だけが1人だった。

カウンターの向かいでは、エビやタコ、イカが捌かれていた。

僕はそれを眺めていた。

ビールのお代わりを注文した。

若い女の子が持ってきた。

忙しかったのだろう、彼女は機敏に動いていた。

世の中には一生懸命に働く人もいれば、僕みたいにマイペースに働く人もいる。

お店を出た後ホテルに戻り、しばらく休んだ。

僕は旅行をする時、事前に計画を作るタイプではない。

大まかな目的地は決めておくが、あとはその時に感じたことや思い出したことを頼りに後々のスケジュールを決める。

全てに効率性を求めるには僕の頭がついていけないのだ。

北海道では味噌ラーメンや塩ラーメンが有名なようだ。

僕は味噌ラーメンを食べに再び商店街へ戻った。

夕方よりも人は多かった。

味噌ラーメンはスープも麺も美味しかった。

簡単な感想しか言えないほど、僕は表現力がない。

僕の評価は基本的に5段階でしか表現できない。

次にバーに行った。

僕はカウンターに案内された。

北海道で飲むクラフトビールは普段のビールより美味しく感じた。

しばらくすると席を一つ空けてサングラスをかけた女性がカウンターに座った。

レザーのトートバッグを僕の横の席に置き、メニュー表を見てカクテルを注文した。

こんなに広い北海道でも同じ飛行機に乗った女性に会うなんてことがあるのだと考えていた。

彼女は携帯が鳴ると席を外しお店の外に出て行った。

何度かそれが繰り返された。

何度かトートバッグを置いてお店を出ることもあった。

その度に彼女はハッとした表情を浮かべていた。

大丈夫ですよ、誰も触れていません、そう言うと彼女はにこりと微笑んだ。

「私、少しおっちょこちょいなところがあるの」

「僕は神経質になるところがあります」

僕がそう言うと彼女はトートバッグを椅子から持ち上げ僕の隣に座った。

クリードの香水の香りがした。
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